オンラインセミナー「市民の記録を教育に活かす:大学?学部教育の現場から」
INFORMATION
20世紀後半以降、世界各地でそれぞれに社会課題に取り組んだ人びとの活動が生み出した多様な記録を所蔵する本学共生社会研究センターでは、所蔵資料を大学教育に活用する試みを続けてきた。また、歴史学、社会学、社会運動論、メディア論など様々な分野の大学教員にも資料を提供してきたが、そうした記録がどのように用いられ、学生の学びにどう役立っているのかについては、これまであまり検討してこなかった。
そこで本セミナーでは、学部教育の現場で市民活動の記録を活用している岩松真紀氏(明治大学)、李英美氏(上智大学)、和田悠(立教大学)の3氏に、授業での実践についてご報告いただく。そのうえで参加者とともに、市民活動の記録を教育に活かすためのアイディアや具体的な工夫、あるいは教員が直面する様々な課題などについて議論を交わしたい。
報告者
上智大学基盤教育センター特任助教
李 英美 氏
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。専攻は歴史学。主たる研究テーマは戦後日本の出入国管理?人の移動?国籍(シティズンシップ)問題。主要業績に、「朝鮮戦争前後の「密航」防止活動における住民の活用」(『年報日本現代史』特集「朝鮮戦争と戦後日本」、25号、p.129-162、2020年)、及び「<境界>をつくる-1950年代初頭の外国人登録実施事務」(『同時代史研究』10号、p.3-19、2017年)等がある。
明治大学非常勤講師
岩松 真紀 氏
東京農工大学大学院博士課程修了。博士(農学)。1987年、北海道大学薬学部卒業。薬剤師。専門は社会教育学、環境教育学。学位論文は、「戦後農山村地域における健康学習運動の成果と可能性—長野県松川町の事例を中心に—」であり、住民の主体的な学習に注目した。住民の主体的な学習?活動という共通性から、公害教育、こども食堂、九条俳句訴訟などに研究の関心がある。現在、東村山市公民館運営審議会委員。近著に「九条俳句訴訟に伴う学習運動による社会教育の主体の形成」(『日本の社会教育』64号、p.179-192、2020年)等がある。
本学文学部教育学科教授、共生社会研究センター副センター長
和田 悠
慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は社会教育、社会科教育、戦後社会論。戦後日本の市民主義の思想的経験を、小児科医で知識人の松田道雄の思想と行動の考察を通じて明らかにしてきた。また、シティズンシップ教育を推進する実践的立場から社会科教育実践(特に歴史教育)についての研究も並行して行っている。最近の著作に「松田道雄の保育思想」(『現代思想』2022年2月号)、「主権者教育に批判的精神を問い返す—新自由主義と戦後民主主義との関わりで」(『立教大学教育学科研究年報』64号、p.321-335、2021年)等がある。